ありがたい [日本文化]
ご亭主のお題は雛祭り。この邦の女性はみなさん祝われてきた。雛祭りを唱いまた聴くことが出来た。雛祭(ひな)の宵。戦後今まで聞いたこことのない、情緒豊かな大正時代、遙かむかしの日本人のこころが聞こえてくるようである。花柳流制定曲 雛の宵。雛祭の宵 高等小学唱歌。
雛祭(ひな)の宵
ぼんぼりに 灯をいるるとて
電燈 殊更 消すもよし
瓔珞ゆれて きらめきて
物語めく 雛祭の宵
十二一重の姫君の
冠少し 曲がれるを
直すとのべし 手の触れて
桃の花散る 雛祭の宵
官女三人の まねすと
妹 まじめの振袖に
加わりたまふ 母上の
ゑまいうれしき 雛祭の宵
お待合松年筆 立雛 本席は山田無文筆 花開葛園春 楽斉造赤膚焼に伊予美豆木 乙女椿が咲く。香合芳葉造 貝。これに始まるお道具組みは、娘を思う母親の気持の現れだろう。3月の正客は男に替わって、ご亭主とお嬢さんの会話というのも良いか。