SSブログ

佐藤忠良 少年の美術(中学校教科書) [芸術]

0077.JPG


少年の美術

美術を学ぶ人へ

佐藤忠良

美術を学ぶ前に、私が日頃思っていることを、みなさんにお話しします。というのは、みなさんは、自分のすることの意味ーなぜ美術を学ぶのかという意味を、きっと知りたがっているだろうと思うからです。私が考えてほしいというのは、科学と芸術の違いと、その関係についてです。(中略)科学というのは、だれもがそうだと認められるものです。科学は、理科と数学のように自然科学と呼ばれるものだけではありません。歴史や地理のように社会科学と呼ばれるものもあります。これらの科学をもとに発達した科学技術が、私たちの日常生活の環境を変えていきます。ただ、私たちの生活は、事実を知るだけでは成り立ちません。好きだとかきらいだとか、美しいとかみにくいとか、ものにたいして感ずる心があります。これは、だれもが同じに感ずるものではありません。しかし、こういった感ずる心は、人間が生きているのにとても大切なものです。だれもが認める知識と同じに、どうしても必要なものです。詩や音楽や美術や演劇ー芸術はこうした心が生み出したものだと言えるでしょう。この芸術というものは、科学技術と違って環境を変えることはできないものです。しかし、その環境に対する心を変えることはできるのです。詩や絵に感動した心は、環境にふりまわされるのではなく、自主的に環境に対面できるようになるのです。(中略)人間が生きるためには知ることが大切です。同じように、感ずることが大事です。私は、みなさんの一人一人に、ほんとうの喜び、悲しみ、怒りがどんなものなのかわかる人間になってもらいたいのです。美術をしんけんに学んでください。しんけんに学ばないと、感ずる心は育たないのです。


nice!(0)  コメント(3) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

佐藤忠良 子供の美術(小学校教科書) [芸術]

0057.JPG


子供の美術(小学校教科書)

この本を読む人へ

 佐藤忠良

図画工作の時間は、上手に絵をかいたり、ものを作ったりするのが、目当てではありません。じょうずにかこうとすることよりも、見たり考えたりしたことを、自分の感じたとおりにかいたり作ったりすることが大切です。しんけんに、絵をかき、ものを作り続けていると、じょうずになるだけでなく、ひととしての感じかたも、育ちます。このくり返しのなかで、自然の大きさがわかり、どんな人にならなければならないかが、わかってきます。これがめあてです。
むかし、ひとはいしをつかってくらしていました。そのころでも、ひとはえをかきました。ひとのかたちをねんどでつくりました。(一年)どうはおよそ5千年前、ひとがつくったさいしょの金ぞくです。どうとすずをとかしてまぜ、かたちにします。(2年)石やどうよりも強い鉄は、3千年まえからつかわれています。鉄のおかげで、じょうぶな道具も作られて、人々のくらしもゆたかになりました。(3年)今のこっているまちも、むかしの人々がよく考えて、力を合わせてつくったものです。(4年)ものを作っている人々のすがたを美しいと感ずる心は、世界中どこでも同じでした。(5年)人が立って歩いてから二百万年以上たっています。人の生活を大きく変えた車は、作られてからまだ五千年しかたっていません。(六年)
                        
nice!(0)  コメント(4) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

芸術 [芸術]

0009.JPG


信楽焼き陶板による製作。落成祝いにあわせて友人の創作のようだ。 




nice!(0)  コメント(1) 
共通テーマ:趣味・カルチャー